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41 【投稿エッセイ】 オン・タイム 投稿者 十二番目の弟子

私がクラシック愛好家になってから四半世紀経ちました。最初はお決まりのパターンでドボルザークの新世界とかチャイコのP協。ハード・ロックのヘッドバンキングではないですが、景気の良い曲では思わず夢中で指揮をしたものです。誰でも経験あるでしょう?

最初で最後でしょうが、実際に一度だけオーケストラの指揮をしたことがあります。
大学のオケ時代に新人に指揮を【させる】儀式がありまして、普通の人は尻込みするのに私は喜んでやりました。その時、練習している曲をやるのが恒例ですが、私はあえてチャイ五の四楽章のコーダをリクエストしました。オケが好きな人には異存ないでしょう。私にはジョージ・セルの一糸乱れぬ演奏が頭にありました。ただ、それだけでは面白くないと思い、最後のババババン!の後、木管だけ残すことにしました。つまり新世界のパクリです。

実際にやってみると、指揮というのはとんでもなく難しいものでした。私はオン・タイムでレコードから流れる大音響に合わせて指揮していたわけですが、実際は「事前の音」を振る、つまり、アウフタクトで振ることが普通のオケの常識です。私の指揮から数テンポ遅れてオケは出ます。戸惑った私はただの4拍子さえおぼつかなくなり、見事大失敗に終わりました。実際の指揮はコンサートマスター(ストバイ/第一ヴァイオリン)がオン・タイムで指揮をすることも学びました。

指揮者の優劣というのは良く話題になります。私は指揮者でオケはがらりと変わることを実体験しています。例えば、その大学のオケも顧問の先生が振ると、とんでもないスピードなのにゾクゾクさせるような流れを感じ、普段ではとてもついていけないテンポの演奏!やはり、カリスマ性とその気にさせる「ワザあり!」でしょう。

礒山先生のレッスンでは指揮をされることがよくあります。この貴重な時間を割いて下さる先生の一挙手一動が指揮です。実際に指揮もされます。すると、あれよあれよと表現が生まれます。独学では絶対に得られないモノです。指揮者の表現は色々ありますね。例えば、「ヤンパッパー!」とか「ズーズーズー!」とか。しかし、そうい う言葉が自分一人で練習するときには鮮烈に蘇ります。「ティヤタッタ!」。

最近、昔大好きだったジョージ・セルの指揮をDVDで見ました。なんと、彼の指揮はオン・タイムでした!白玉の間も指揮棒をチャキチャキと振っています。鮒釣りは鮒釣りに戻ると言いますが、私はこの指揮にあらためてレコードに合わせて指揮をしていた自分に戻りました。

それに、礒山先生のレッスンはリアル・タイムの指揮です。
なにか私も演奏者側に立ちつつあるのだと思うこの頃です。

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