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6 Adageの息遣い

ピアノの曲で言うなら、ベートーヴェンの有名な「月光」ソナタの1楽章、おなじみ全音版のソナタ・アルバムなどにも載ってるモーツァルトのソナタヘ長調K.332の2楽章。ゆったりとくつろいだテンポで演奏を、というのがAdagioの意味するところです。押しも押されぬ名指揮者カラヤンの振るゆったりとした曲ばかりを集めて1枚のCDに収めたものは「癒し系」クラシックの売れ筋CDとして記憶に新しいところでしょう。音楽の場合はイタリア語で、Adagioと記されるのが一般的。バレエ用語の場合フランス語でAdageと記されましょう。どちらにせよアダージオ、アダージョという言い方が一般的でしょう。

古典のバレエではアダージオというと男性が女性のソリストを支え、ここぞとばかりバレリーナの美しさをたっぷりと見せてくれるパ・ドゥ・ドゥーの場面で堪能できるでしょう。
「白鳥の湖」第2幕オデットと王子のアダージオ、「くるみ割り人形」の金平糖の精と王子のグラン・パ・ドゥ・ドゥーのアダージオの部分など、古典的な作品の中でもとりわけ観衆をうっとりとさせてくれる場面です。私などバレエと言うとこのあたりのイメージが絶対的です。王子様に支えられたバレリーナの片足が高く上げられるアラベスクのポーズ・・。ため息を押さえられない美しさです。

稽古場でこの「アダージオ系」の動きのためにピアノを弾く時間はバレエのレッスンの中でも一番好きな時間です。おそらく、このアダージオのレッスンを弾きやすく感じられるバレエピアニストは私だけではないでしょう。ピアニストもゆったり呼吸できる時間です。

曲も落ち着いたテンポのものを使いますし、何より動体視力(!)にさほど自信がなくても大丈夫!上半身の動きがものを言ってくれますから、ピアニストは自分の目に比較的自然に入ってくるおおらかな動きを捕まえて弾けます。休む間もなく動き続ける足元を見ながら安定したリズムを刻まなければならないのとは訳が違います。
ここぞとばかりこちらもたっぷりと音を歌わせ、左手のアルペジオを気持ちよく流れるように弾いていくのですから弾き慣れた曲などは特に気持ちの良いものです。

ですから、バレエピアニストとして経験の未熟な段階でも比較的すんなり、安心して弾けるのがアダージオでしょう。声楽の呼吸とも違い、たっぷりブレスをとるようなフレーズ感ではないですが、ピアノで旋律を歌わせるピアニストの歌心と、動く側の踊り心が刺激しあう嬉しい時間です。弾く方も踊る方も双方共に音楽性がり問われ、又高めていく時間るともいえますでしょうか・・。

対して、ぴょんぴょん跳び続ける軽いジャンプや、アレグロと言われる(音楽は決してその言葉のままAllegroのテンポと言うわけではないです。)足の細かな動きのための曲を弾くにはどうも私の場合、妙なところに力が入って緊張し、息をつめて弾きがちです。ピアノを弾いて窒息する?前代未聞!

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